狩猟の際に着用するベストは、ハンティングに便利な機能が備わっているだけではなく、ハンターの安全を確保する意味でも狩猟には重要なアイテムといえます。
さまざまなハンティング用の狩猟ベストがありますが、使い勝手のいいもので自分に合うサイズを着用することが大切です。本記事では、狩猟ベストを着る理由や狩猟ベストの選び方について詳しく紹介します。
目次
狩猟ベストとは

狩猟ベストとは、ハンティングのときに使うベストのことをいいます。複数のポケットがベストの至るところにあり、薬莢を入れたり狩猟で必要な携行品が収納できるようになっているものです。
一般的な狩猟ベストは目立つ赤やオレンジ色などのものが多いですが、実は狩猟べストには明確なガイドラインはなく、色の指定も着用の義務もありません。
日本で狩猟を行う際は、鳥獣保護管理法という法律を守る必要がありますが、この法律の中には、狩猟時の服装についての規定は一切書いていないのです。しかし、多くのハンターが狩猟のときに狩猟ベストを着ることには、利便性だけではなくさまざまな理由があります。
狩猟ベストを着る理由

ハンティングのときに狩猟ベストを着る理由には、次のようなものがあります。
・視認性を上げるため
・予備の弾をしまうため
・両手が自由に使えるようにするため
・万が一のときに保険が下りるように
・ローカルルールで義務付けられている
1つずつ詳しく見ていきましょう。
視認性を上げるため
狩猟ベストというと、オレンジ色のものを思い浮かべる方も多いでしょう。多くの狩猟ベストに使われている色は、ブレイズオレンジと呼ばれる鮮やかなハンターカラーです。
狩猟ベストに目立つ色が使われているのは、視認性を上げるためです。森や林のような草木が生い茂った視界の良くない場所でも、明るい目立つ色の狩猟ベストを着ていれば、遠くから「あそこに別のハンターがいるな」と気づきやすくなり誤射を防げます。
視認性・ハンターの安全性を高めるために有効な狩猟ベストのオレンジ色ですが、獲物とする鹿やイノシシなどには視認できない点も採用されている理由の1つです。人間にとっては目立つ色ですが、四つ足の動物は周りのものを白黒で認識しています。
イノシシは青系の色は認識できるといわれていますが、狩猟する際に派手なオレンジ色のベストを着ていても、ハンターの安全性は高められますし、獲物を捉えるときに不自由はないのです。
予備の弾をしまうため
狩猟には、銃猟やなわ猟、網猟などさまざまなやり方がありますが、銃猟のときは、砲と弾が必要です。狩猟ベストには予備の弾を収納でき、必要なときにすぐに取り出せる機能が備わっています。
狩猟ベストを着用せず、そのままポケットに弾を入れてハンティングしてもよいですが、山の中を歩き回ったり獲物を追いかけたりしているときに紛失する可能性があります。また、いざというときにさっと取り出して使えなければ、追い詰めた獲物を逃してしまうこともあるでしょう。
狩猟ベストの多くには、銃猟向けの弾を収納する場所が作られています。
両手が自由に使えるようにするため
狩猟に行くときには、実はさまざまなものを持っていく必要があります。狩猟のグッズには細かいものが多く、バックパックやほかのバッグなどに入れて持ち歩くと、必要なときに必要なものをスムーズに取り出せなくなってしまいます。
狩猟ベストなら必要なものを細かく分けてポケットに収納できるため、両手を自由に使えます。
万が一のときに保険が下りるように
狩猟ベストを着ていないと、万が一のケガやトラブルが起こったときに保険が減額される可能性があります。狩猟に関する保険には、狩猟共済やハンター保険などがあります。狩猟共済は、大日本猟友会へ会費を支払っている方が加入できる狩猟事故共済保険をいいます。
また、ハンター保険は、一般の損害保険会社が取り扱う保険です。約款には、狩猟ベストを着ていないと保険が下りないとは明記されていませんが、狩猟事故共済普通保険約款の第28条に、”安全狩猟ベスト・帽子の双方又は一方を着用していなかった順守義務違反が認められる場合には、第8条の事由に該当しない場合であっても、審査委員会の裁定により支払うべき保険金の額の5%の額を上限として減額することができる”と記されています。
参照:http://j-hunters.com/about/images/insurance/hoken.pdf
狩猟ベストを着ていなくても保険が下りないわけではありませんが、大日本猟友会の構成員であるなら、ハンティングのときには狩猟ベストを着ている方が安心といえるでしょう。
ローカルルールで義務付けられている
所属するグループや狩猟を行いたい地域にあるローカルルールで、狩猟ベストの着用が定められている場合があります。
趣味の範囲で行う狩猟なら問題ありませんが、有害鳥獣駆除や個体数調整などの許認可が必要な捕獲や猟友会が主催する共猟会や射撃会などでは、許可の条件と合わせて駆除隊独自のルールとして、狩猟ベストや猟友会ベストの着用を義務付けていることがあるため、事前に確認が必要です。
法律や保険の約款ではありませんが、地域や所属グループ上のルールは狩猟を行う際には守らなければいけません。許認可にも影響することがあるので、ハンティングの前に必ずチェックしましょう。
狩猟ベストに必要な機能

狩猟ベストは、なんでもいいわけではありません。狩猟をする際に必要な機能が備わっていなければ、着用していても意味がないので、以下のような特徴があるものがおすすめです。
安全性を確保できる色
狩猟ベストは、ハンターの安全を確保するために、人間の視認性が高いとされるオレンジやオレンジに近い色のものがおすすめです。狩猟ベストを着る最大の理由の1つが、ハンティング中の誤射を防ぐための安全性です。
鹿やイノシシは色盲とされているため、赤やオレンジの狩猟ベストを着ていても灰色っぽく認識されるので、狩りに影響はありません。明るく鮮やかなハンターカラーのものがおすすめです。
ただし、鳥猟の場合、鳥は色づいた実を選んで食べることからも分かるように、赤系の暖色を認識できます。オレンジ色の狩猟ベストは不利になることもあります。
ステルス性を高める柄
狩猟の際には、獲物に探知されないようステルス性を高めるデザインの狩猟ベストを着用するとよいでしょう。狩猟ベストは、ハンターの安全性だけではなく獲物へのステルス性を考えて、リアルツリー迷彩などの柄が多く採用されています。
鹿やイノシシは色の判別はできず、さらにリアルツリー迷彩柄などの模様が入った狩猟ベストなら森や山の中にいても周囲の景色と同化させられます。また、動く際に音がしにくい生地を使った狩猟ベストなら、より効率的にターゲットに近づけるでしょう。
収納力
狩猟ベストは、収納力が高いかどうかも大切な要素です。ハンティングでは、弾薬や巻狩りを行う際に必要な無線などを持ち歩きます。大小多くのポケットがあり、さらに弾薬ホルダーや無線専用ポケットなどが付けられた狩猟ベストなら、狩猟に必要な装備をベストに収納できます。
また、猟銃を行う際は、猟銃の所持許可証を携帯しなければいけません。狩猟登録証というバッジも着用義務があります。これらも収納、取り付けできる狩猟ベストがおすすめです。
さらに、ポケットの数だけではなく、ポケットが使いやすい位置にあることも重要です。可能であれば、試着して実際にポケットからものが出し入れしやすいかどうかを試してみるとよいでしょう。
動きやすさ
ハンティングを行う際は、長時間自然の中で過ごすことも少なくありません。1日中、狩猟ベストを着用する場合もあると考えると、なるべく動きやすいものが適しています。軽さは大きなポイントです。
最近の狩猟ベストでは、猟友会のハンティングベストより25%以上軽量にしたものも販売されています。また、防水ジッパーや水の撥水性の高いピーチフェイスコート加工などが採用されている狩猟ベストも快適です。
さらに、雨や霧、露などの条件で狩猟を行う際は、ブレスアブル素材のような透湿性に優れたものが使われている狩猟ベストが適しています。機能性が高く、かつ着用しやすいものが狩猟ベストとして優秀です。
狩猟ベストの選び方

実際に狩猟ベストを選ぶときのポイントをお伝えします。初めて狩猟ベストを購入する際は、さまざまなものがありどれを選んでいいのか悩んでしまうこともあるでしょう。
コストや機能性だけで選んでしまうと、実際に使ってみて使い勝手が悪くハンティングの妨げになる場合もあります。選び方のコツを抑えて、狩猟に役立つ1着を手に入れましょう。
ジャストサイズ
狩猟ベストに限らず、身につけるものはジャストサイズを選ぶべきです。狩猟ベストの場合、一番外側に着るものです。また、狩猟に必要な装備を狩猟ベストのポケットに入れて歩くため、オーバーサイズでは動きにくくなります。
猟友会の狩猟ベストなどの中にはオーバーサイズのものもありますが、体にフィットするサイズを選びましょう。ただし、冬の狩猟に使う場合は、防寒着の上からハンティングベストを着用することが多くなるため、ほかの季節よりも厚着することを考慮したうえでジャストフィットするサイズを選びましょう。
視認性が高いもの
狩猟ベストの定義や着用義務は一切なく、どんなものを選んでもいいし、狩猟ベストを着なくてもハンティングはできます。
しかし、安全に狩猟を行うためにも、視認性の高い狩猟ベストを選びましょう。多くの狩猟ベストは、人の視認性が高いオレンジや赤などの色を使用しています。さらに、ステルス性を高めるデザインのものであれば、より効率的に獲物に近づけます。
収納が多いもの
収納が多い狩猟ベストは、使いやすさもアップします。ポケットの多さはもちろんですが、マジックテープ式で出し入れが素早くできるものや、防水ジッパー付きのもの、無線機が歩いてもポケット内で動かないようぴったり収まるサイズに作れたものなどは、細かい設計ですが実際に使ってみると機能性が高いと感じるでしょう。
背面にポケットがあるものは、狩猟ベストを着用した状態で後ろに手を回して手が届く位置にあるかどうかを確認してみてください。狩猟に必要な装備が、狩猟ベストに十分収納できることが大きなポイントです。
体温調節できるもの
暑いときや寒いときに着用しても、体温調節できる機能がある狩猟ベストがおすすめです。たとえば、取り外し可能なポケットの下がメッシュ加工になっていれば、暑い季節の狩猟でも通気性を確保できます。
狩猟ベストは襟なしのものが多いですが、ハイネック仕様の狩猟ベストなら首からの風の侵入を防げるため、寒い季節の保温機能が高まるでしょう。
さらに、腰回りのフィット感を調整するためのドローコードがあれば、歩くときの枝への引っかかりにくさが高まるだけではなく体温保持にも役立ちます。
防水・透湿性の高いもの
天気のいい日ばかりに狩猟をするわけではありません。防水や透湿性の高い工夫がされているものを選ぶと天候が悪いときでも快適に猟が行えます。起毛によって水をはじく撥水加工、ピーチフェイスコートを採用している狩猟ベストは雪山の狩猟に便利です。
また、防水しながら透湿性を確保できるブレスアブル素材が使われているものもよいでしょう。上からも下からもジッパーが開閉できれば通気性の調整も容易です。
音がしにくい素材のもの
忍び猟をする際には、サイレントコートの狩猟ベストがおすすめです。擦れても音がしにくい生地を使っているため、動いてもシャカシャカした音がしにくく、獲物にスムーズに近づけます。
狩猟ベストの価格相場

狩猟ベストの価格相場は、10,000円~30,000円くらいです。ただし、狩猟向けの狩猟ベストだけではなく、ファッションとしてのハンティングベストも販売されています。
それらは、3,000円~5,000円程度と機能性の高い狩猟ベストに比べると安価ですが、使い勝手や安全性に疑問があるため選ばない方がよいでしょう。
狩猟ベストは機能性の高いものを選ぼう!

狩猟ベストは法的に着用の義務はありませんが、ハンターの安全を守り、ハンティングに必要な多くの装備を十分に収納できるような機能性を考えて作られたベストです。ステルス性を高めて獲物を獲得しやすい工夫もされているため、ハンティングでは重宝します。
収納力だけではなく軽さや防水、透湿性の高いものを選べば、快適にハンティングを楽しめるでしょう。選び方のポイントを参考にして、使いやすい1枚を選んでみてください。
箱罠
くくり罠
パーツ類
電気柵
自作キット
防獣グッズ
監視カメラ
box trap
tying trap
enclosure trap
Prevention and avoidance goods
electric fence
trap surveillance camera
transportation goods
Trap detection sensor
hunting supplies
game cookware
hunting books
Anti-bird goods
Agricultural materials/machinery
Gibier
boar
deer
Kyon
monkey
raccoon
Badger
palm civet
raccoon dog
nutria
mouse or rat
Mole
bear
pigeon
Crow