そこで、本記事では電気柵の正しい結び方を解説するとともに、ワイヤーの種類と選び方も紹介します。電気柵の設置に必要な知識を身につけて、電気柵の正しい結び方を習得しましょう。
目次
電気柵の結び方を間違えるとどうなる?
電気柵の結び方を間違えると、ワイヤーが焦げついたりショートして溶けたりする場合があります。とくに、ワイヤー同士の結び目が1点で接触している場合や、ワイヤー同士をぐるぐる巻きにしている場合、結び目に「こぶ」や「隙間」ができている場合にショートが発生しやすくなります。
さらに、ワイヤーを結んだときに余った先端の処理を誤るとワイヤーから火花が飛ぶことがあるため注意が必要です。また電気柵のワイヤーはツルツルした素材でできていることが多く、結び方を誤ると結び目がほどけるおそれもあります。
設置した電気柵を延長したいときや電気柵を設置したあとにワイヤーが足りないことに気づいたときは、ワイヤー同士をつなぎ合わせて延長しなければいけません。設置場所や状況にあわせて柔軟に対応するためにも、正しい電気柵の結び方を身につけましょう。
ワイヤーの正しい結び方
ここではワイヤーの正しい結び方を2種類紹介します。手順を追って詳しく解説しているので、ワイヤーの結び方に苦戦している初心者はもちろん、すでに結び方を知っている人もワイヤーの正しい結び方を再確認しましょう。
結び方がわかりづらいと感じた人は、YouTubeなども活用しながら結び方を確認してみてください。
本結びの結び方
本結びはワイヤー同士を連結する一般的な結び方の一つです。具体的な結び方の手順は以下のとおりです。
1.左にあるワイヤーAの上に右にあるワイヤーBを重ねて1周巻き付ける
2.ワイヤーBの下にワイヤーAの先端をくぐらせる
3.ワイヤーBの上からくぐらせたワイヤーAを巻き付ける
4.ワイヤーAとワイヤーBの両端をそれぞれ左右に引っ張り、結び目をつくる
5.先端のワイヤーと一緒にワイヤーAとワイヤーBを強く引っ張り、結び目を締めたら完成
本結びは比較的ほどけにくいため、ワイヤーをほどく必要がないときに重宝します。
二重テグス結びの結び方
二重テグス結びも代表的なワイヤーの結び方の一つです。二重テグス結びの結び方の手順は以下のとおりです。
1.2本のワイヤーの端を平行に重ねる
2.左のワイヤーAの端に右のワイヤーBを上から下に1周巻き付けて輪っかをつくる
3.つくった輪っかにBのワイヤーを2回通す
4.A、Bのワイヤーを軽く引っ張り結び目をつくる
5.同様の手順でBのワイヤーにも結び目をつくる
6.A、Bのワイヤーを引っ張って2つの結び目を引きつけて密着させる
7.最後に余った両端のワイヤーをカットして絶縁テープを巻けば完成
二重テグス結びは、左右のワイヤーにつくる固め止め結びの作り方をマスターするのがポイントです。難易度はそれほど高くないため、ロープや紐などで繰り返し練習しましょう。
なお、ワイヤーを結ぶ際にワイヤー同士が1点のみで接触していると正常に通電されません。
またワイヤーを結束したあとに余った先端を処理しないと火花が出る可能性があります。余った先端は放置せず、絶縁テープなどをワイヤーの上から巻き付けて処理してください。
ワイヤーの種類と選び方
ワイヤーは主に、ステンレス線・アルミ線・ポリステンレス線・ポリステンレス線+銅メッキ線の4種類があります。
種類によって強度や通電性、耐久性など、特徴が異なるため、用途や目的に応じてワイヤーを選ぶことが重要です。ここでは、代表的なワイヤーの種類とその選び方について詳しく解説します。適切なワイヤーを選ぶための参考にしてください。
ステンレス線
ステンレス線は、ほかの金属と比べて電気抵抗が高いため、長距離に電気柵を設置する場合、電気柵全体に十分な電圧を供給できない可能性があります。しかし、強度が高いため、長期間の使用や永続的に設置をする際に適しています。例えば、年間を通じて設置したままにする恒久柵には、ステンレス線が最適です。強度が高いため、雨風などの外的な要因による劣化や破損のリスクが少ないでしょう。
一方で、ステンレス線は硬度が高いため、適切な工具を使用しないと切断や取り付けが困難なことがデメリットです。ほかのワイヤーと比べて施工に時間と労力はかかるものの、その分得られる耐久性と信頼性は大きなメリットといえるでしょう。
アルミ線
アルミ線は電気抵抗が低く、通電性に優れているため、長い距離を設置しても電圧が落ちにくいことがメリットです。一方で、型がついたアルミ線は引っ張ると折れやすく、柔軟性に欠ける点がデメリットとしてあげられます。取り扱いや施工には注意が必要です。
一般的な用途でアルミ線を使用する人は少ないものの、果樹園などではアルミ線が比較的よく使用されます。
ポリステンレス線
ポリステンレス線とはポリエチレン線にステンレス線が編み込まれたワイヤーのことを指します。ポリステンレス線の最大の特徴は、安価であることです。市場には多くの輸入品が流通しており、比較的安価な傾向があるため、コストを抑えたい場合に適しています。
ただし、電気抵抗が高い点に注意が必要です。電気抵抗が高いと、ワイヤーの末端まで電気が通りにくくなるため、長距離に使用する場合は不向きといえるでしょう。
ポリステンレス線+銅メッキ線
ポリステンレス線+銅メッキ線は、通電性を高めるために電気抵抗の低い銅メッキをポリステンレス線に編み込んでいることが特徴です。ポリステンレス線+銅メッキ線のワイヤーは、国産メーカーから比較的多く販売されている傾向があります。輸入品と比べるとコストはやや高めですが、その分耐久性を期待できる商品が多いといえるでしょう。
このようにワイヤーは種類によって特徴が異なるため、予算や設置する場所、距離に応じたワイヤーを選ぶことが重要です。
電気柵のショートを予防する方法
電気柵のショートを予防するためには、ワイヤー同士を正しく結束することに加えて日常的な点検が欠かせません。
ワイヤー同士の結び目に「こぶ」や「隙間」ができていたり、ワイヤー同士をぐるぐる巻きにしたりするとショートしやすくなります。上述した結び方を利用するほか、結び目の代わりに配線を繋ぐ専用の金具を使うことがショートの予防に有効です。
また、ワイヤーの結び方や結束方法の誤りだけでなく、漏電も電気柵がショートする原因の一つです。電気柵の効果を存分に発揮できるよう、以下の不具合がないかこまめに点検しましょう。
・電圧が5,000V以上あるか
・ワイヤーに伸びた雑草が触れていないか
・支柱や地面などにワイヤーが触れていないか
・ワイヤーに倒木や落下した枝が触れていないか
・ワイヤーが切れていないか
電気柵を正常に稼働させ続けることが、害獣からの被害を軽減するために重要です。
電気柵の管理に便利なアイテム4選
ここでは電気柵を管理するときに便利なアイテムを4つ紹介します。管理の効率化が期待できるアイテムをピックアップしたので、手入れの時間がない人や電気柵の管理にわずらわしさを感じている人は、ぜひチェックしてみてください。
電圧チェッカー
電圧チェッカーとは電気柵の電圧を調べる道具のことです。商品によって操作方法は異なりますが、ワイヤーに電圧チェッカーのセンサー部分を引っ掛けたり当てたりするだけで通電状況を確認できます。なかには屋外で使いやすいようにLEDランプで通電状況を確認できるものもあるので、初心者でも十分使いこなせるでしょう。以下にイノホイが販売している電圧チェッカーを4商品記載しました。
具体的な商品を検討する際の参考にしてみてください。
メーカー名 |
商品名 |
価格(税込) |
アポロ |
5,400円 |
|
アポロ |
9,800円 |
|
タイガー |
6,800円 |
|
タイガー |
12,700円 |
電柵線用巻き取り器・リール
ワイヤーを巻き付けるときに使用するのが電柵線用巻き取り器・リールです。ワイヤーを保管する際に、絡みや歪みを防ぎながら整理して保管できることが魅力です。ワイヤーを取り付けたり回収したりするときの作業が楽になるため、電気柵を導入するなら1つは持っておきたいアイテムといえるでしょう。イノホイでは以下の4商品を販売しているので、商品を選ぶ際の参考にしてみてください。
メーカー名 |
商品名 |
価格(税込) |
ニシデン |
7,480円 |
|
ネクストアグリ |
6,600円 |
|
アポロ |
6,380円 |
|
アポロ |
990円 |
電気柵埋没線
電気柵埋没線は、本器とワイヤーが離れている場合に使用する埋め込み可能なワイヤーです。電気柵を連結させて、離れた位置にある別々の田畑を繋げたいときに重宝します。地中に埋めて使用するだけでなく、支柱などの高いところをつたって使用することも可能です。用水路や小川などがある場合に役立つでしょう。
なお、電気柵埋没線を地中に埋める際は、ビニールパイプなどに通して使用してください。
メーカー名 |
商品名 |
価格(税込) |
アポロ |
550円 |
|
末松電子製作所 |
1,650円 |
ゲートグリップ
ゲートクリップとは電気柵の出入り口に使用するフック状のグリップのことです。ワイヤーをゲートクリップに連結させ、ゲートクリップの先にあるフックを碍子(ガイシ)に引っ掛けて使用します。電気柵の内側に人が入る際は、ゲートクリップのハンドルを握り碍子からフックを脱着することで通電中でも電気柵に出入りできます。
段数やゲートの幅に応じて柔軟に電気柵を設置できることが魅力のアイテムです。
メーカー名 |
商品名 |
価格(税込) |
アポロ |
1,320円 |
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ニシデン |
860円 |
|
タイガー |
2,200円 |
電気柵のワイヤーに関するQ&A
電気柵のワイヤーに関して、よくある質問をQ&A方式で紹介します。いざ電気柵を設置しようと思うと、電気柵の結び方以外にも疑問点は出てくるでしょう。以下で紹介する内容を参考にして疑問点を解消し、クリアな状態で電気柵の設置に挑みましょう。
ワイヤーは延長できる?
ワイヤーは必要に応じて延長可能です。延長方法は先ほど説明した結び方を活用するか、専用の連結金具を使用する方法があります。ただし、電気柵には設置できる最大のワイヤーの長さが決まっているため、上限を超えないようにする必要があります。具体的には、本器に記載してある推奨延長距離以上の長さで設置しないことが重要です。
縦線の連結は何か所あるとよい?
電気柵を設置する広さにもよりますが、連結線は100mに1か所を目安に設置し、合計で3か所程度あると理想的です。連結か所が多いほど電気の流れは安定しますが、その分設置や回収の手間がかかるため、連結か所は合計で3か所程度にしましょう。なお、連結時にワイヤーを強く引っ張りすぎるとワイヤー同士の間にスペースができてしまい、動物が侵入しやすくなるため注意しましょう。
交換の目安は?
ワイヤーは以下のような症状が見られたら交換が必要です。・ポリエチレン部分が劣化している
・金属線が断線している
・ショートして焦げたあとがある
いずれも目視で判断ができるため定期的に点検を行い、交換のサインを見逃さないようにすることが重要です。電気柵に通電していない期間が生まれると、野生動物が電気柵を怖がらなくなるため注意しましょう。
ワイヤーがショートしているか確認する方法は?
ワイヤーがショートしているかどうかは音で判断できます。ワイヤーから火花が出るとパチパチという音がするため、耳をすましてショートしている場所を特定しましょう。また、火花やショートしたワイヤーの焦げ跡を目視で確認できることもあります。ショートしている場合は、すみやかにワイヤーを交換しましょう。
まとめ|電気柵の正しい結び方とワイヤー選びで、安全かつ効果的に害獣を防ごう!
この記事では、電気柵の結び方や延長方法がわからない人のために、実践的な結び方とワイヤーの種類や選び方を解説しました。電気柵の正しい結び方をマスターし、用途にあったワイヤーを選ぶことが安全かつ効果的な害獣対策に繋がります。正しい知識と技術を身につけて害獣から作物を守りましょう。
イノホイではこの記事で紹介したアイテム以外にも、さまざまな商品をラインナップしています。さらに、農業を手助けする情報も多数掲載しているので、ぜひご活用ください。
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