電気柵は事故が起きやすい?市販のメリットや注意点を紹介

電気柵は事故が起きやすい?市販のメリットや注意点を紹介
電気柵は、イノシシやシカなどの害獣から畑を守る効果が期待できる製品です。しかし、電気が流れることから危険なイメージを持っている方も多いでしょう。本記事では、電気柵による事故の詳細を紹介するとともに、市販の電気柵の安全性を解説します。また、市販の柵の魅力や事故を起こさないための対策も紹介するため、設置を検討している方はぜひ参考にしてください。

電気柵による事故の事例:静岡県西伊豆町


2015年、静岡県西伊豆町で電気柵がかかわる事故が発生しています。川で遊んでいた子どもが、土手のアジサイ畑周辺に設置されていた電気柵に触れて感電してしまったという事故です。感電した1人の子どもを助けようとしたほか6人も次々と感電し、7人が病院へ搬送され、そのうち2人が亡くなる重大な事故になってしまいました。

電気柵は、近隣の男性がアジサイの花壇をシカから守るために設置したものでした。市販の電気柵ではなく自作の電気柵を設置しており、農機具小屋の家庭用コンセントを使用していて、漏電遮断器の設置がなかったとみられています。

電気柵の役割とは


電気柵は、大切に育てた畑を害獣から守る役割があります。畑の周囲に設置すると、イノシシやシカなどの獣がエサを求めて畑に侵入し、荒らしてしまうのを防いでくれます。電気柵の電線にはプラスの電気が、地面にはマイナスの電気が流れており、動物が電線に触れると回路が通じ、電線から動物の体をとおって地面に電気が流れます。これが感電の仕組みです。

害獣が柵に触れると電気が流れるため、痛みや衝撃に驚いて逃げていきます。電気柵に触れると感電する仕組みを覚えさせて、近寄らなくなるようにする効果があります。なお、電線に虫が止まっても感電しないのは、電気の流れる回路が通じないためです。電気柵は、対象が電線と地面の両方に触れている状態で効果を発揮します。

電気柵は安全?危険?


電気柵は、動物が電線に触れると電気が流れる仕組みですが、人間が触れてしまったときに大けがをしてしまうのではないかと心配を抱えている人もいるでしょう。市販の電気柵には安全に利用できる工夫がされており、人間が誤って触れてしまってもけがをしないようになっています。ビリッと強い衝撃は受けますが、通常大けがにはいたりません。ここでは電気柵の安全性について具体的に解説します。

市販の電気柵は安全対策が施されている

市販の電気柵は、柵自体の電気の力である電圧は高くとも、電気が流れる力である電流は弱い製品が多いため、人を含めた生き物を傷つける心配はありません。また、電気が身体に流れるのもごく一瞬です。

市販の電気柵は、常時電気が流れているのではなく、約1秒間隔で瞬間的に電気を流すパルス出力形式と呼ばれる仕組みが作られています。そのため、誤って触れて電気が流れてしまっても、すぐに手を離すことが可能です。触れてしまったときにビリビリと電気が流れ続けるのではなく、ドアノブに触れて静電気が発生したときのようなイメージを持つと良いでしょう。

また、市販の電気柵は、電気事業法やそれに関する省令にもとづいて安全性を確保したうえで製造されています。必ず安全装置を設置することになっているため、安心して利用できるといえるでしょう。

死亡事故が起こったのは自作の電気柵

西伊豆で起きた死亡事故で設置されていた電気柵は、市販製品ではなく自作のものでした。そのため、電気を断続的に一瞬だけ流す安全装置が整備されておらず、死亡事故につながってしまったと考えられます。なお、これまで市販の電気柵による死亡や重傷事故は起きていません。

畑や花壇を害獣から守るために電気柵は重要な役割を果たします。なかには、設置費用を抑えるために電気柵を手作りする人もいるでしょう。しかし、電気柵を自作する際は、安全に利用できるかのチェックが欠かせません。必ず安全装置を設置して、事故につながらない仕組みを作る必要があります。

電気柵の安全を確保する法律


電気柵を安全に設置するための法律があります。電気柵の設置については、電気事業法にもとづく電気設備に関する技術基準を定める省令により、感電や火災のおそれがないよう設置することが義務付けられています。重大な事故を発生させないためにも、法律に準拠した設置を行いましょう。

市販の電気柵の魅力

こちらでは、市販の電気柵が持つ魅力を紹介します。市販の電気柵は、安全対策が施されているため、周囲に損害を与えることなく害獣対策としての効果を発揮してくれます。電気柵の購入を検討している方は、魅力を把握して、設置による効果が見込めるかを検討しましょう。

心理柵としての効果が期待できる

電気柵には心理柵の役割があります。心理柵とは、害獣が学習することで柵を避けるようになる、動物の心理を利用した防護柵のことです。電気柵は、電線に触れた動物に対して軽い電気ショックを与えて驚かせて、柵に近づかなくさせる効果があります。

さらに、痛みを受けたその場だけではなく、柵は危険なものであると学習することで、その後も近づかなくなる効果が期待できます。電気柵は、痛みや驚きそのものによる対策と、危険と学習させる対策の2点から、侵入を防ぐことが可能です。なお、ショックは命に関わる大きさではありません。そのため、人に対しては必要以上に不安になることはないでしょう。

費用対効果が高い

電気柵は購入費用や月々の電気代の負担が大きいイメージですが、実は費用対効果の高い対策の一つです。電気柵は小型のものであれば、およそ2~3万円から購入できます。そのため、手軽に実施できる害獣対策といえるでしょう。電気代は電源の種類によって異なりますが、乾電池タイプでも月数十円ほどです。

ソーラータイプであれば電気代が不要なため、より維持費を抑えられます。心理柵として働き、害獣を近寄らなくさせる効果があるだけでなく、一度設置すれば簡単なメンテナンスで長期利用ができるため、初心者でも導入しやすい対策だといえるでしょう。

資格不要で設置が簡単

電気柵の設置には特別な資格や技術が不要で、誰でも簡単に設置できる点が魅力です。電気柵の設置方法はシンプルで、まずは設置場所の草刈りを行います。設置場所にポールを立てたらワイヤーをひっかけていきます。その後、電源装置やアース棒を接続すれば設置完了です。最後に、電源装置をオンにして通電できているか確認しましょう。製品の説明書に沿って準備すれば簡単に設置できるため、罠の設置といった大がかりな対策を行うのが大変と考えている方は、電気柵を検討してみましょう。

電気柵で気を付けたい点は、雑草などが電線に触れてしまうために起こる漏電です。漏電が発生すると、電気柵本来の効果を発揮できないおそれがあるため、草刈りはこまめに行いましょう。

電気柵による感電事故を防ぐための対策


市販の電気柵には安全対策が施されていますが、万が一の感電事故に備えて対策を行いましょう。こちらでは、3つの対策方法を紹介します。

電気柵を設置した付近に看板を置く

電気柵を設置する場合は、周囲の人に電気柵の存在を知らせるための看板を設置しましょう。一つではなく、どの方向から来ても目につくよう、適当な間隔での設置がおすすめです。また、看板を見かけた人が注目して確認できるよう、危険と一目でわかるようなデザインで作成しましょう。

電気柵は、見た目では電気が流れているとわかりません。他人が知らずに触れてしまうことがないよう、電気柵に近づく前の段階での対策が大切です。

条件に適合する電源装置を使用する

電気柵を設置する際は、以下の条件に該当する電源装置を使用しましょう。

1.電気用品安全法の適用を受ける電気柵用電源装置
2.感電により人に危険をおよぼすおそれのないように出力電源が制限される電気柵電源装置であり、次のどちらかから電気供給を受けているもの
2-1.電気用品安全法の適用を受ける直流電源装置
2-2.蓄電池、太陽電池その他これらに類する直流の電源

電気柵を安全に利用するためにも、条件を把握しましょう。

漏電遮断器を設置する

電気柵を設置するにあたって、使用電圧が30V以上の電源から電気供給を受ける場合、電気を供給する電路に漏電遮断器を設置しましょう。適合する漏電遮断器の条件は以下のとおりです。
1.電流動作型のものであること
2.定格感度電流が15mA以下で、動作時間が0.1秒以下のものであること

感電事故を防ぐためにも、適切な漏電遮断器を利用しましょう。

家庭用電源を使用する際の注意点


家庭用電源を用いて電気柵を使用する際の注意事項を3つ紹介します。電気柵による感電事故を未然に防ぐためにも、注意点を把握したうえで適切な設置を行いましょう。

注意事項1.家庭用電源(AC100Vなど)を直接柵線に通電しないでください。感電や火災など重大事故の危険性があるとともに、法令にも違反します。

注意事項2.家庭用電源(AC100Vなど)を使用する場合は、製造メーカーにおいて、電気用品安全法の基準を満たしていることを示すPSEマーク表示のある電気柵用電源装置を使用してください。

注意事項3.電気柵用電源装置に家庭用電源(AC100Vなど)を使用する場合は、漏電遮断器を設置してください。なお、ACアダプター使用の場合も同様です。

電気柵に使用する電源の種類


こちらでは、電気柵に使用する電源の種類を4つ紹介します。電気柵に用いられる電源は、乾電池、バッテリー、ソーラー、ACアダプターです。なお、製品によって対応可能な電源の数に違いがあるため、購入時は商品のスペックと付属品を確認しましょう。

乾電池タイプ

乾電池タイプの電源装置は、電源の確保が簡単な点が魅力です。一般的に電池には、単1や単2が用いられます。場所を選ばず手軽に設置できる便利さもあります。ただし、電池切れに注意が必要です。持続期間を確認できないため、定期的に電源が切れていないか確認する必要があります。

電気柵は、電気がとおっていない状態で立てておくと、害獣が危険なものではないと学習してしまうため、電池が切れたまま放置しないよう注意しましょう。また、ワイヤーの長さが長すぎると電力不足になってしまうおそれもあります。設置する場所が広い場合は、適さない可能性があります。

バッテリータイプ

バッテリータイプの電源装置も、比較的場所を選ばずに設置できます。また、容量は乾電池よりも大きいため、長期間の使用に適しています。充電して繰り返し利用できる点もメリットの一つです。バッテリー残量をこまめに点検し、電源が切れる前に充電できるようにしましょう。

また、電気柵本体にバッテリーが内蔵されているタイプもあります。内蔵タイプは配線の手間が省けるため、手軽に設置したい方におすすめです。

ソーラータイプ

ソーラータイプは、日光からのエネルギーを利用して運用できるため、ランニングコストを抑えられるのがメリットです。ただし、ソーラーパネルは日当たりが良い場所に設置する必要があります。

日光によるエネルギーが不十分だと、安定して電源が供給できません。ソーラータイプの中には、バッテリーも内蔵されている製品があります。日光による電源供給が不足してもバッテリーで補えるため、長期的な利用が可能です。

ACアダプタータイプ

電気柵は、家庭用のAC100Vから電源を取ることも可能です。接続中は安定的に電源を供給できるため、電力不足の心配が少ない方法といえます。しかし、電源を供給できる設備が設置場所の近くにない場合、導入が難しい方法です。

市販品には、経済産業省が管理する電気用品安全法の厳しい基準をクリアしたPSE適合品を利用しましょう。コンセントとACアダプターの間には、漏電遮断器の設置も義務付けられているため、忘れないよう注意が必要です。

電気柵の選び方


電気柵の効果を最大限発揮させるためには、設置場所や目的、対策を行いたい動物にあわせた製品選びが大切です。まずは、設置場所の環境を確認します。自宅近くの小さな家庭菜園に設置する場合と、遠い場所で管理する田畑に設置するのでは、適切な製品が異なります。

自宅に近い場合は、様子を見に行きやすいためこまめにメンテナンスができますが、自宅から遠い場所の場合は、メンテナンスに行けるタイミングが限られるでしょう。そのため、メンテナンスの手間が少ない製品を選ぶことが大切です。

そのほかにも、設置する期間が長い場合は、乾電池タイプよりも長期間利用しやすいソーラー、バッテリー、ACアダプターなどがおすすめです。また、対策したい動物のサイズにあわせて段数や柵の高さを選択しましょう。

まとめ|市販の電気柵は安全対策が行われているため事故が起きにくい


電気柵による感電で死亡者が発生した事故を受け、電気柵の安全性について不安を持った方も多いでしょう。しかし、市販の電気柵は安全対策が行われており、これまで死亡や大けがなどの重大な事故は発生していません。そのため、畑や花壇の害獣対策を行いたいと考えている方は、市販の電気柵の設置を検討しましょう。

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