近年、多くの地域でイノシシの被害が多数報告されています。田畑を荒らすだけでなく、人に直接危害を加えるケースもあり、特に地方在住の方にとっては深刻な問題となっています。
今回はイノシシの生態から起こりうる被害、電気柵や箱罠を使用した対策方法について紹介します。近隣で農作物の被害が見られる方は早めに対策を行いましょう。
目次
イノシシの生態・行動

イノシシは古くから食肉用として狩猟の対象となってきた動物です。しかし近年、民家の近くで見かけることが多くなり、畑を荒らしたり生ごみを漁ったりすることで大きな問題になっています。
イノシシ対策を行うには、その特性を理解したうえでの環境整備が欠かせません。
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分類 |
哺乳動物網、偶蹄目、イノシシ科、イノシシ属 |
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生態 |
・群れを形成することがある ・本来は昼行性だが、人を避けて夜に行動することもある ・神経質で警戒心が強い ・寿命は1〜2才が平均。長いものは10年程度 ・発情期が12〜1月。4〜6月に出産 |
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食事 |
・雑食性 ・農作物以外にも昆虫やネズミなども食べる ・人間が出す生ごみも餌となる |
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身体能力 |
・1m程度の高い柵を跳び越えられる ・時速45kmで走れる ・鼻の押し上げる力が強く60kg程度のものは動かせる |
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生息地域 |
ニホンイノシシは本州や四国・九州等 |
なぜイノシシ被害が出るのか

イノシシ被害が目立つ要因として、人間の生活様式が変化し、森と街の距離が近づいたことが考えられます。本来、イノシシは山に生息する動物です。しかし、街と森の距離が近づいたことにより居場所や食料確保の場を失ったイノシシは、市街地に出て食料を探すようになりました。また、社会インフラへの被害も問題視されています。
実際のイノシシ被害としては下記が挙げられます。
・農作物を食い荒らす
・農作物を掘り起こす
・田んぼで泥浴びをして稲作の妨害をする
・民家の付近でごみを荒らす
・ウイルス(豚コレラ等)の拡散
イノシシによる被害は非常に深刻で、具体的には堤防の法面を掘り返される事例が報告されています。このような被害が続けば雨が降った際の法面崩れや、洪水時の土砂流出のリスクが高まる恐れがあります。環境の変化に伴いイノシシの被害が増加する中、対策を講じて自分たちの生活環境を守ることが重要です。
イノシシから与えられる直接の人的被害は、鋭い犬歯や噛みつきなどによる裂傷が挙げられます。また、イノシシを媒介して家畜のウイルス感染被害も報告があります。田畑を所有する人はもちろん、さまざまな方面でイノシシ被害が報告されているため、できる限りの体躯を講じる必要があるでしょう。
イノシシ対策の5つの方法

イノシシ対策は自分で行えるものから、自治体全体で取り組むものまでさまざまです。被害の大きさや予算により取り組みを変えていきましょう。
1.周辺環境を整備する
はじめに取り組みたいこととして、周辺環境の整備が挙げられます。イノシシが発生してから対策することはもちろん大切ですが、イノシシを寄せ付けない環境づくりも欠かせません。具体的な取り組みは下記のとおりです。
・畑に野菜や果物の残渣(ざんさ)を残さない
畑の中に野菜や果物が残っていると、イノシシが寄ってきてしまいます。また、イノシシは一度食物を食べて味を覚えると何度も侵入します。イノシシに食料があるとわからないよう、生ごみとして回収したり土の中に埋めたりする必要があるでしょう。
・誰も収穫しない果樹が近隣にないか確認する
民家周辺に果樹がある場合は適切な管理が必要です。カキやクリなど野生で育つ果樹がある場合、イノシシが近寄ってきやすい傾向があります。過疎地になっており、かつ放任果樹がある場合はその周辺をイノシシがえさ場として認識してしまう恐れがあるでしょう。果樹は早めに収穫を済ませる、管理者が近くにいない場合は許可を取り、木ごと伐採してしまうなどがおすすめです。
・雑草を定期的に駆除する
背の高い雑草があると、低身のイノシシは身を隠せてしまうため、高めに茂った雑草は定期的に刈り取りましょう。とくに、耕作放棄地や竹やぶなどは自治体を巻き込んだ整備が必要です。
なお、高齢化が進む地域では雑草の駆除が難しい可能性もあります。その場合は各地域で自治体に相談し、対策してもらいましょう。
・ツルを伸ばす植物を防護柵近くに植えない
イノシシをはじめとしたさまざまな害獣に効果が期待できる防護柵ですが、その近くに植える作物には注意が必要です。ツルを伸ばすカボチャやスイカのような植物を植えると、柵にツルが絡んでしまいます。柵の外に実がつけばイノシシが食べに来る可能性や、電気柵にツルが絡むことで漏電のリスクもあり危険です。
ツルを伸ばす植物はその成長の早さから管理が難しい傾向があります。支柱に巻き付けたり、柵から離れた場所に苗の植え付けを行ったりと対策を打ちましょう。 イノシシは食料があるところにやってきて、そこを拠点とする習慣があります。対策はまず「近づけない」取り組みから進めましょう。
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2.業者に依頼する
さまざまな対策を試しても効果がない場合は、自治体や猟友会に依頼するのがおすすめです。基本的にイノシシは捕獲禁止であるものの、その被害が大きいと有害鳥獣として捕獲が可能です。農作物や人に危害を及ぼす場合は捕獲対象となるでしょう。
なお、捕獲に使う銃や罠を扱うには狩猟免許を取得し、都道府県への狩猟者登録が必要となるため、無資格では扱えません。対策を行う場合は情報共有を行い、有識者に担当してもらいましょう。
3.罠を使用する
農林業に従事している方の場合、囲い罠であれば免許不要で使用できます。(自治体によって別途様々な制限がありますので、必ず事前にご確認ください。)後述する「箱罠」や「くくり罠」などは使用できません。囲い罠は耕作地周辺を避けて設置しましょう。
なお、罠は少し土に埋めてイノシシに警戒されにくいよう工夫しましょう。また、この時に周辺で栽培されている作物を誘い餌に使わないように注意します。作物を使うことで「この近くには食料がある」と、かえってイノシシをおびき寄せるきっかけになり得ます。
囲い罠以外には忌避剤の使用も効果的です。イノシシが嫌う臭いや光を出して近づけないようにします。しかし、忌避剤は慣れると効果がなくなる持続性の低さがデメリットです。慣れないよう、複数の忌避剤を分けて使う方法がよいでしょう。
なお、罠とは少し異なりますが犬を飼うことも対策につながります。犬の足跡やマーキングがあるとイノシシは警戒します。イノシシが出没した箇所の近くに犬小屋を置き、再びイノシシが現れたら犬が吠えることで追い払えるとともに、その後警戒して近寄りにくくなります。ただし、イノシシは興奮すると突進する恐れがあるため注意が必要です。
4.継続的に見回りを行う
イノシシを遠ざけるためには、継続的に見回りを行い人の気配を残すことが効果的です。
イノシシがよく使う場所、例えばけもの道やヌタ場などに、人が頻繁に訪れていることを示すことで、イノシシに「この場所は危険だ」と認識させられます。
見回りの際は、けもの道の出入り口を5〜10mほど歩いて痕跡を残すだけでも効果があります。
このように、継続的に見回りを行って人の存在を意識させることで、イノシシが寄り付きにくい環境を作りましょう。
5.臭い・光・音で対策する
昔からイノシシの警戒心の強さを利用して、臭い・光・音を使った対策が行われてきました。
伝統的な対策方法としては、人の髪の毛を吊るす方法や、線香・コールタール・石鹸などの臭いを付ける方法があります。
最近では、トウガラシや他の動物の尿を利用した対策や、イノシシが接近するとセンサーが反応して音や光で恐怖心を与える対策もあります。
しかし、臭い・光・音を使ったイノシシ対策は一時的な効果しか得られず、単体では効果が不十分です。
そのため、臭い・光・音でイノシシ対策する際は、継続的な効果が見込める防護柵や電気柵との併用が必要です。
イノシシ対策に有効な罠・グッズ

ここからはイノシシ対策に効果的な7つのグッズを紹介します。いずれの方法も各グッズの特徴を踏まえた使用が求められます。
電気柵
電気柵は数ある柵の中でも防獣効果が高いといわれています。柵に電気を通し、イノシシをはじめとした害獣に痛みを覚えさせることで接近を防止します。農作物への被害が甚大な場合は電気柵の導入を検討しましょう。なお、電気柵を設置する場合は通電の確認で定期的なメンテナンスが必要です。電気柵を設置する場合は、メンテナンスまで視野に入れて商品やサポートしてくれる販売元を選定しましょう。
電気柵の選び方とおすすめ商品はこちらの記事も参考にご覧ください。
電気柵の選び方とおすすめ商品12選を紹介!害獣の見分け方もあわせて解説
【これで解決!】電気柵の仕組みや設置方法、選び方のポイントまでまとめて解説
もう迷わない!電気柵の種類別(電源別)の特徴とおすすめ商品をご紹介
電気柵を設置する際に必要なアイテム
電気柵を設置する際には、以下のアイテムを揃える必要があります。
電気柵本体
プラ電柵支柱
電気柵ロープ
ガイシ
ゲートクリップ
まず、柵に電気を流す電気柵本体には、ソーラー式・家庭用電源・乾電池式など、主に3つの電源タイプがあります。ソーラー式であれば、太陽光で充電できるので便利です。
プラ電柵支柱とガイシは、電気柵ロープを固定するアイテムで、プラ電柵支柱にガイシを取り付けて使います。
電気柵ロープとは、電気柵用の撚り線です。電気柵ロープには、3線のものや6線のものがありますが、断線のしにくさを重視するなら6線のものを選びましょう。
ゲートクリップは、人間が電気柵の外から畑の中に入るための出入口部分に使うアイテムです。ゲートグリップのフック部分をガイシに引っかけて、出入りする際にはフックを外します。
以上のアイテムは、電気柵を使う際には必須のアイテムなので必ず準備してください。
くくり罠
くくり罠はイノシシが罠を踏むとワイヤーが締まって脚を捕獲する仕組みです。電気柵やフェンスなど、大がかりな対策ができない場合に効果的です。設置には少しコツが必要で、罠を設置した痕跡を残さないよう仕掛ける必要があります。
イノシシの足跡があった場所や獣道の近くに設置すると効果が期待できるでしょう。なお、罠付近に子どもが近寄らないよう、周囲にはイラスト入りの注意看板を設置してください。
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ライト
ライトは手軽に始められるイノシシ対策です。ホームセンターやオンラインで購入できます。なお、ライトの種類は下記のとおりです。
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ライトの種類 |
特徴 |
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赤外線センサーライト |
カメラに搭載されたセンサーで熱源(イノシシの体温)を感知し、照らし出す |
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LEDライト |
夜間でも目立つ明るさのためイノシシを怖がらせられる |
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ストロボライト |
ストロボをランダムに発してイノシシを威嚇する |
イノシシは臆病な性格のため、人の気配があると近づかない傾向があります。本来昼間に活動するはずのイノシシは人の気配を恐れ夜に現れるのです。ライトを設置していると、夜イノシシが出没したときにライトが光り、びっくりして近寄らなくなる効果が期待できます。ライトの設置はイノシシ対策の初動としておすすめです。
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箱罠
箱型の檻の中に餌を置いておびき寄せる仕組みのグッズです。檻の中にある罠のスイッチを踏むと入り口の扉が閉まりイノシシが出られなくなります。一度に何頭ものイノシシを捕獲できるため、複数等の確認がある場合に適しているでしょう。
イノシシを捕らえるための檻はさまざまな商品が展開されています。組み立て式のものであれば設置がしやすいため、初めて導入する方にもおすすめです。檻の場合は被害防止とともに捕獲も可能なため、イノシシの数を減らす取り組みにもつながります。
なお、箱罠は効果的な使用ができない場合、かえってイノシシを餌でおびき寄せよせて増やす可能性もあります。確実に捕獲できるよう工夫が必要です。
檻はイノシシの大きさに合わせて選べます。近隣で出没するイノシシの大きさを把握するために、猟友会がある場合は情報共有しながら商品を選択しましょう。
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防獣フェンス
防獣フェンスは、初期費用としてある程度のコストがかかりますが、強度が高く、侵入防止効果も期待できます。また、商品の耐用年数が長いため、一度設置したら長く使える点もメリットです。しのび返し加工により飛び越し防止効果も期待できるため、これまでネットやライトなどで効果が出なかった場合におすすめです。
防獣フェンスの効果的な設置方法
藪がある場所に防獣フェンスを設置すると、イノシシが藪を隠れ場所にして侵入経路を探る可能性があります。そのため、防獣フェンスの外側の雑草や藪はきれいに取り除いておきましょう。
また、イノシシは1mほどの高さであれば容易に飛び越えてしまうため、防獣フェンスの高さは1.2m以上にしてください。
防獣フェンスを傾斜地の近くに設置すると、イノシシが防獣フェンスを飛び越える恐れがあるので、傾斜地から2mほど離して設置しましょう。
防獣フェンスを設置する際は、周囲を隙間なく囲むことが重要です。イノシシはわずかな隙間でもくぐり抜けてしまうので、地面との間に隙間ができないようにしっかりと塞いでください。
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防獣ネット
防獣ネットは設置がしやすい点がメリットです。支柱を立ててネットを括り付けるだけのため、対策に慣れていない人でも扱いやすいでしょう。なお、設置の際に支柱を頑丈なものにしておかないとイノシシに倒されてしまったり、ネットを噛んで破かれてしまったりする恐れがあります。できる限り丈夫な素材を選びましょう。
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イノシシ撃退・防除グッズ
イノシシ撃退・防除グッズは、低価格で購入でき手軽に使える点がメリットです。イノシシが嫌がる色やニオイ、習性を活かしてイノシシを遠ざけます設置する場所や被害状況に適した商品を選ぶことが大切です。ただし、イノシシ撃退・防除グッズによる対策効果は一時的なものなので、確実に対策できる電気柵などと併用しましょう。
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イノシシ対策における罠・グッズ使用時の注意点

ここからはイノシシ対策において罠やグッズを使用する際、知っておきたい注意点を解説します。購入した商品を有効活用するために環境整備やグッズの選定は慎重に行いましょう。
設置場所の環境を整える
イノシシ対策を行うにあたって、罠やグッズの設置場所を整えましょう。どれだけ性能がよい商品を購入しても、使用方法が不適切であれば効果を期待できません。
たとえば、農地と斜面、農地と隣の農地の境界ギリギリに防護柵を設置すると、柵の外側に出れなくなってしまい、草刈りの労力がかかります。その結果、管理が十分にできなくなると、防護柵の効果が発揮されません。防護柵は管理者が手入れを行いやすい場所に設置します。
また、イノシシは防護柵の下側から潜り込んで侵入するケースも見られます。さらに、柵の連結部分に数センチのすき間があればこじ開けて侵入することも可能です。柵を設置する場合はイノシシに潜り込まれないよう、すき間を作らないことが大切です。潜り込み防止として、地際に設置する強化金具やワイヤーメッシュの柵などが販売されているため、活用しましょう。
対策したい害獣にあったグッズを使用する
害獣対策はさまざまなグッズが販売されていますが、対象の動物に適したものを使用しましょう。一口に檻といっても、イノシシやハクビシン、シカなど大きさは異なります。イノシシの被害に悩まされている場合、サイズをイノシシの大きさに合わせて購入する必要があります。
また、電気柵の電気も動物の背丈にあわせて設定すると、効果を最大限まで引き出せます。イノシシの場合は電気が通りやすい鼻先に当てるために、2段で20cmと40cmの高さに設置するとよいでしょう。
なお、電気柵の場合はアスファルトやコンクリート舗装されている場所から離して設置します。また、漏電防止のために下草管理も定期的に行いましょう。
まとめ|害獣対策についてお気軽にご相談ください!

イノシシの被害は増加傾向にあり、これまで報告がなかった都市部の田畑でも起こる可能性があります。大切な農作物を守るためには、イノシシをはじめとした害獣対策が欠かせません。イノホイでは害獣対策に効果的なアイテムを多数取り揃えています。
カタログ形式で商品を確認できるほか、役立つ情報も掲載していますのでぜひご活用ください。
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