イノシシ対策では電気柵の効果がないって本当?効果を最大化するためのポイントを解説!

イノシシ対策では電気柵の効果がないって本当?効果を最大化するためのポイントを解説!
イノシシ対策では電気柵がよく使用されますが、「本当に効果はあるのだろうか?」「設置しているのに効果を実感できない」といった悩みや不満がある人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、電気柵の基本的な仕組みや効果を最大化させるためのポイントを詳しく解説します。適切な設置方法や設置するときの注意点を理解し、イノシシやシカといった害獣による被害を軽減しましょう。

電気柵の効果を最大化するために知っておくべきポイント


ここでは、電気柵の効果を最大化するために知っておくべきポイントや電気柵以外の防護柵の役割について解説します。害獣による被害を軽減するために、まずは電気柵の基本的な構造や仕組みを理解しましょう。

電気柵は物理柵ではなく心理柵

電気柵の効果を最大化させるためには、電気柵が心理柵であることを理解する必要があります。

害獣対策や家畜を管理するために使用される柵には、電気柵以外にもワイヤーメッシュ柵や金網柵など、さまざまな種類があります。

ワイヤーメッシュ柵や金網柵などは、柵の高さで動物の出入りを制御する物理柵です。一方、電気柵は野生動物が柵を回避する心理を利用した心理柵なので、イノシシやシカに「柵に触れると危ない」という恐怖心を抱かせることが重要です。

この心理戦に失敗すると十分な効果が得られないことを覚えておきましょう。なお、電気柵は物理柵と併用するとさらに効果を高められます。

電気柵の回路は動物を通じて成立する

電気柵の仕組みを理解することも、電気柵の効果を最大化させるためのポイントの一つです。特に電気柵の回路は動物を通じて成立することを理解しましょう。

動物が電気柵に触れると、プラスの電気が本機からワイヤー、動物の体、地面、アースの順番で流れたあと、プラスの電気が本機に戻ることで電気柵の回路は完成します。

このように、動物がワイヤーに触れないと電気柵の回路は成立しません。電気柵が自発的に電気ショックを発生させているわけではないことを理解したうえで、しっかりと動物が電気柵に触れるような工夫を施すことが重要といえるでしょう。

電気柵の効果は設置方法に依存する

上述したように、電気回路が成立しないと害獣に電気ショックを与えることはできないため、電気柵の効果は設置方法に依存するといえるでしょう。

例えば、ワイヤーに十分な電圧が流れていないと、動物に十分な電気ショックを与えられず、電気柵に対する恐怖心を植え付けられません。また、ワイヤーの高さが不適切な場合、動物がワイヤーを飛び越えたり潜ったりしてしまい、侵入を阻止できません。

ほかにも、ワイヤーが雑草や草木に触れたり断線したりすると、漏電してしまい十分な効果を得られない可能性が高まります。

適切な電源装置の選定やワイヤーの設置、アースの確実な設置なども重要です。電気柵の正しい設置方法は、次の見出しで詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

効果的に電気柵を設置するポイント


ここでは効果的に電気柵を設置するポイントを紹介します。これからはじめて電気柵を設置する人も、すでに電気柵を設置したことがある人も、設置するときのポイントを改めて確認することで、より一層電気柵の効果を高められるでしょう。

イノシシの鼻先の高さにワイヤーを張る

毛で覆われた野生動物の体には電気が流れにくいため、イノシシに対して電気柵を設置する場合は、ワイヤーがイノシシの鼻の高さになるように設置しましょう。

具体的には、最下段のワイヤーが地上から約20cmの高さになるように設置してください。また、2段目以降のワイヤーも20cm程度の間隔を空けて設置すると、より効果を発揮しやすくなります。

なお、シカに対して電気柵を設置する場合は、ワイヤーの最下段を地面から20cmの高さにし、そこから30cm・30cm・40cmの順でワイヤーの高さを調整しましょう。また、アライグマなどの中型動物の場合は、ワイヤーの最下段を地面から5cmの高さにし、そこから10cmの間隔でワイヤーを設置するのがおすすめです。

コンクリートやアスファルトなどの舗装路には設置しない

電気が通りにくいコンクリートやアスファルトなどの舗装路には、電気柵を設置しないようにしましょう。また、乾燥している地面に設置すると、電気柵の通電性が悪くなる可能性があるので注意が必要です。

電気柵の設置場所は、電気が流れやすい土の地面にしましょう。もし設置したい場所に舗装路がある場合は、舗装路から50cm以上離れた場所に電気柵を設置してください。

舗装路から50cm程度離れていれば、イノシシの前足が土の上に乗り、電気が流れやすくなります。

碍子は動物が来る方向に向けて設置する

効果的に電気柵を設置するためには、動物が来る方向に向けて碍子を設置することもポイントの一つです。

碍子とはワイヤーを電気柵の支柱に固定する部品のことを指します。イノシシなどの動物が支柱を押し倒そうとしたときでも、碍子を動物の来る方向に向けて設置してあれば、碍子や碍子に繋がるワイヤーに動物が接触して電気ショックを受けやすくなります。

金属製の碍子は、それほど神経質になる必要はありませんが、プラスチック製の碍子を取り付ける場合は、取り付ける向きにも注意を払うことが重要です。

できるだけ平坦な場所に設置する

電気柵の効果を発揮するためには、電気柵をできるだけ平坦な場所に設置することも、重要なポイントです。

傾斜地のすぐ近くに設置すると、動物が斜面を使って柵を飛び越える場合があります。どうしても傾斜地に設置しなければならない場合は、斜面から2mほど離した場所に設置しましょう。

また、窪みのある場所や高低差のある地面に設置すると、ワイヤーと地面の間に隙間ができやすいため、隙間ができる場所に支柱を追加するのがおすすめです。

上下のワイヤーを繋ぐ接続線は50〜100mごとに設置する

広範囲に電気柵を設置する場合、上下の電柵線を繋いでいる接続線は50〜100mごとに設置するのがポイントです。このように設置することで、万が一、ワイヤーが1か所切れた場合でも、電流の流れが途切れずに使用できます。

また、接続線は出入り口の両脇と本体の近くにも設置します。電気柵の設置範囲が狭い場合でも、最低3か所は設置するのがおすすめです。接続線の設置により、電気柵全体の効果をより一層高められるので、害獣の侵入を防ぎやすくなります。

アース棒は湿った場所に深く打ち込む

アース棒の設置に不良があると電気がうまく流れません。砂利や石のある乾燥した地面にアース棒を打ち込んでいたり、アース棒の打ち込みが浅かったりすると、通電に悪影響を及ぼすため、アース棒は湿った場所に打ち込みましょう。

また、湿った場所にアース棒を打ち込む際は、地上にアース棒が出ないように地中深くに打ち込むことが重要です。アース棒を複数打つ場合は、間隔を2m以上空けて設置しましょう。

アース棒を正しく設置すれば、電気柵の効果が上がるだけでなく電池の寿命も長くなります。

電気柵のそばの雑草や藪を除去する

雑草が電気柵に触れていると漏電の原因に繋がるため、電気柵の近くにある雑草や藪は定期的に除去しましょう。特に支柱に巻きつくツルには、注意が必要です。

電気柵の付近にある雑草や藪を除去する目的は、漏電対策のほかに動物が身を隠す場所を減らす目的があります。イノシシは草むらなどの安全な場所に身を隠しながら、電気柵に侵入する隙を見計らっているので、柵に雑草が接触していない場合でも、こまめに草刈りを行うことが重要です。

ただし、9月以降に草刈りをすると、普段は春ごろに生える青草が冬でも生えてきてしまうため注意が必要です。青草はイノシシの好物であるため、9月以降に草刈りをする場合は、柵の周囲だけにとどめておきましょう。

支柱の間隔は3〜5mごとに設置する

支柱を設置する間隔は、3〜5m空けることが重要です。対象の動物によって多少間隔に違いはありますが、シカ対策なら10mに1本、イノシシやクマ、ハクビシン、タヌキなどの小動物対策の場合は、4mに1本が目安とされています。

ただし、地面に窪みや高低差がある場所は、柵の高さが低くなったりワイヤーと地面の間に隙間ができたりするため、支柱の数を増やして地面の起伏に対応することが大切です。

また、イノシシやシカなどの害獣がワイヤーにぶつかった際に抜けないよう、支柱は約30cmの深さで打ち込みましょう。

水路や窪地に設置するときは隙間を作らない

側溝・明渠(めいきょ)といった水路や窪地に電気柵を設置するときは、隙間から動物が潜り込まないように注意する必要があります。

特に水路に設置する場合は、ワイヤーに重りをつけてワイヤーを垂らしたり、水路の水位が変化しても漏電の影響が少ないフラッドゲートシステムを採用したりしましょう。

フラッドゲートシステムとは、水位の変化で漏電が起こらないよう設計された電気柵のシステムのことです。フラッドゲートシステムを採用するには、フラッドゲートチェーンやフラッドゲートコントローラーなどを別途購入する必要がある点に注意してください。

設置場所にかかわらず、地面とワイヤーの一段目の隙間が20cm以下になることを意識することが大切です。

設置する範囲に応じた電源装置を使用する

電気柵に必要な電圧は最低でも4,000Vといわれていますが、ハクビシンやアライグマなどは10,000V程度の電圧が必要であるといわれています。

ただし、電気柵に10,000V程度の高電圧を加えるためには、出力が大きい電牧器が必要になります。高出力な電牧器は消費電力が大きいため、5W以上のソーラーパネルを併用するのがおすすめです。

また、電気柵を設置する範囲が広いほど、電圧は低下する可能性が高くなるため、電気柵の有効距離や推奨延長距離に注意することが重要です。

推奨延長距離とは、ある程度の漏電抵抗があることを考慮した使用可能な距離の目安のことです。有効距離・推奨延長距離以上の範囲に電気柵を設置すると、十分な電圧を得られないため注意してください。

電気柵は24時間通電する

イノシシは夜行性と思われがちですが、実際は昼間でも積極的に活動するため、電気柵は夜間も電源を切らず24時間通電しつづけることが重要です。

昼間にイノシシが電気柵に触れた際、電気ショックが発生しないと「電気柵は危険ではない」とイノシシは学習してしまいます。電気柵は心理柵であるため、イノシシの恐怖心がなくならないようにする必要があります。

なお、育てている作物がなく、電気柵を通電させておく必要がない時期には、電気柵を撤去する必要があることを覚えておきましょう。

以下の記事では電気柵の設置方法やメンテナンス時のチェック項目について詳しく解説しています。これから電気柵を設置する予定の人は、あわせてチェックしてみてください。

電気柵の設置方法とは?害獣対策のポイントと注意点をご紹介

おすすめの電気柵3選


これから電気柵を購入しようとしている人に向けて、おすすめの電気柵を3商品紹介します。

1つ目に紹介するのは、ネクストアグリの「電気柵 防獣くんソーラー600 お手軽 100mセット(2段張)」です。本体や専用バッテリーだけでなく、支柱や危険表示板など電気柵の設置に必要なものがすべてセットになっており、単品よりもお得に購入できます。

2つ目に紹介するのは、ニシデンの「電気柵 NSD-5本体&支柱・電線セット(外周100m×2段)」です。最大電圧が9,000Vと高く、電圧が落ちにくい設計になっているので、害獣に効果的に電気ショックを与えられるでしょう。

3つ目に紹介するのは、アポロの「電気柵 AP-2011-SR 4段張りセット シカ対策」です。シカ対策のために、本体と4段張するための支柱、ワイヤーがセットになっています。ソーラー式なので、電源がない場所でも使用できる点がうれしいポイントです。

電気柵を購入するにあたって、まだ具体的な商品が見つけられていない人は、ぜひチェックしてみてください。特に、はじめて電気柵を購入する予定の人は、必要なものがすべて揃ったセット商品を購入するのがおすすめです。

電気柵を設置するうえでの注意点


ここでは電気柵を設置する際の注意点を解説します。害獣に対する効果以上に、人に対する安全性を確保することが電気柵を使用するうえで非常に重要です。電気柵を自作することの良否についても解説しているので、電気柵をDIYしようとしている人は必ずチェックしましょう。

不適切な自作の電気柵は絶対に使用しない

不適切な自作の電気柵は絶対に使用してはいけません。市販の電気柵は通電間隔がコントロールされているため、人が触っても重大な怪我に繋がるリスクは低いですが、自作した電気柵は安全性に配慮されていないケースもあります。

自作した電気柵による死亡事故も過去に起きているので、電気柵は必ず市販のものを使いましょう。また、電気柵を家庭用電源に直接繋ぐ行為は電気安全法上の法律違反になるので、説明書をよく確認し、記載のとおりの方法で使用するようにしてください。

電気柵に注意看板を設置する

市販の電気柵であれば、人間が触れても重大な怪我に繋がるリスクは低いと上述しましたが、電気柵を設置する場合は注意看板の設置が法律で義務付けられています。

また、注意看板は人が見やすい位置・間隔に設置する必要があるため、雑草やツルで隠れていないかなど、日々の点検を行うことも大切です。

なお、注意看板は1枚単位で数百円、5〜10枚セットで数千円からECサイトで購入できます。電気柵と注意看板がセットになっていない商品を購入するときは、別途購入しておきましょう。

正しい設置方法を理解して効果的な害獣対策をしよう


電気柵は設置をしても効果がないと思われがちですが、正しく設置・使用すれば、効果を最大限高めることができます。正しく設置・使用するためには、電気柵の構造や仕組みを理解することが不可欠です。また、電気柵の効果を高めるだけでなく、人に危険が及ばないような使い方も知っておく必要があるでしょう。

イノホイでは、電気柵以外にも鳥獣対策用の商品を幅広くラインナップしています。農業に役立つさまざまな情報も掲載しているので、ぜひご活用ください。

https://inohoi.com/

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